NetIB(データ・マックス)には、積水ハウスの首脳部にとっては、なかなか煙たい耳に痛い人間臭い連載ものが続いています。無味乾燥な会社診断記事ではない。
最近は積水ハウスとタマホームと対比した連載が続いています。9/3には「抱えた分譲地の特損計上に悩む積水ハウスと分譲住宅分野で攻勢をかけるタマホーム」とのタイトルで、「この上半期の決算では吉満福社長が主導した『赤坂ミッドタウン』の持分売却効果により不動産事業の売上総利益率は30%近く収益を押し上げたが、それでもコア事業の鉄骨戸建事業の落ち込みをカバーしきれない。もしもこの状態が2,000億円以下の企業ならば危機的な状況であり、これまでのストックがあるからこそ持ちこたえているのだ」
「これまでの積水ハウスの受注好調は紹介販売比率が60%超を維持してきたことに尽きる。この中で取引業者(施工業者・納入メーカー等)および工場の社員及び委託業者らに支えられてきた。この間積水ハウスの営業担当者は新規顧客の開拓よりは協力工事店等の事務所巡りをしておれば受注に辿り着いていたのだ。そうして年収1,000万円〜1,500万円程度の年収を確保してきた。それだけではない! 新卒女子社員の夏の賞与支給額がいきなり80万円強だったりしたのである。一方、施工店の社員の給料や職方の年収は下がり続けて今や400万円台を確保できるかどうかまで漸減している。しかし、営業担当者のフットワークの衰えに加え従来同社の紹介・成約マシーンであった施工業者、職方・メーカーの体力が予想以上のスピードで疲弊し始めている。 選挙で言う集票マシーンが壊れ始めているのである」と。
NetIB(データ・マックス)野口孫子さんは、「積水ハウス興亡史/愛する積水シリーズ」とのタイトルで、2007年11月から今年6まで53回連載された。最終回には「昨日、データマックスの主催による講演を聞いた。講師は木下敏之氏(元農水省官僚、前佐賀市長)で自治体の首長は経営者の資質を有するべきだ。人材の格差は地域の格差につながっている。今後、日本の人口は全体的に減少していく。2050年頃には、日本のどの都市も、働き手が今の半分位に減ってしまうということで、そのために税収が激減、高齢者は増加、福利厚生費用などの支出が増える。自治体はどう対処したらいいか解らない状況とのこと。この変化に従来の首長では対応できないだろう。経営感覚を持った首長が待たれるということだった。
このことは、人々に安住の場所として住宅を提供している、積水ハウスの将来を揺るがす大きな問題でもある。この将来の難局を乗り切るには20年、30年先の就業者(住宅を建てる人達)数の推移を予測しながら、マーケティングを行い、新しい商品開発の投資が大事だろう。積水ハウスが経験したことがない未知の市場が待ち受けているのである。市場が縮小するという難局を乗り切るためには、優秀な人材の育成が大事である。
大和ハウス工業は新規事業を立ち上げながら、業容を拡大する方針のようだ。積水ハウスは海外への進出、子会社の積和不動産の賃貸事業の拡大、開発事業の拡大が考えられるが、これだけでは現状維持程度で、対応策にならないだろう。実質上の創業者、田鍋が言っていたように、積水ハウスは本業に徹し、本業に新たな投資を行い、住宅着工数の減る中、シェアーアップを計るか、積和不動産の賃貸管理の入居者100万人近い数字に新たな事業の展開を考えるか、生き残りをかけて、積水ハウスの将来はエリートと言われる人材が出てくるかにかかっているだろう。
田鍋が築いた積水ハウスには、今は不遇をかこっていても、優秀な人材が必ず出てきて、英知を絞り、輝かしい未来を切り開いてくれることと信じている。未来の見通しは霧の中、しかし、それを乗り越える力を持っていることを信じながら、このシリーズを終わりたいと思う。いろいろな人に取材を通じて、協力をいただいたことに感謝いたします」と。